ナイトメア・アリー 感想

 

怪物も幽霊も出てこないダークな映画『ナイトメア・アリー』

【あらすじ】
流れ者のスタンが怪しげなカーニバル一座に迷い込んで、読唇術を会得します。
やがて「電気人間」の手品をするモリーと恋仲になって一座を抜け出し、ショービジネスで成功を収めます。
しかし、謎めいた心理学者のリリスと出会ったことで運命が狂わされていく・・・

 

そんな野心に満ちた主人公の栄華と転落、欲望と裏切りの物語です。

ストーリー的には単純なのですが、全編にわたって豪華な美術を配していて、さらに撮影の技巧を凝らした極彩色の耽美な映像世界に引き込まれます。

とりわけ獣人ショーや読唇術の念入りに見せる前半部分は、この映画の監督であるギレルモ・デル・トロが2017年にアカデミー賞とアカデミー監督賞を受賞した『シェイプ・オブ・ウォーター』と同じく、異形のものに対する憧れを感じます。

そして、何より怖いと感じるのは、ケイト・ブランシェットが演じる心理学者リリス。
リリスの妖気さは、残虐な描写シーンといったどんな視覚効果よりも、魅惑的で恐ろしかった・・・

 

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