松本まりか 怪演 ドラマ

「あざとかわいい」イメージの松本まりかさん

 

そんなイメージを裏切る怪演ぶりが話題のドラマ『向こうの果て

昭和60年にとあるアパートの一室で起きた殺人事件を巡る物語。

アパートの一室で起きた放火殺人事件が発端。死亡したのは、律子と幼なじみの小説家・君塚公平(松下洸平)。殺人容疑で逮捕された律子は、つかみどころのない態度で検事・津田口(柿沢勇人)の取り調べをかわす。2人が幼少期を過ごした青森・津軽での出来事や、律子を取り巻く男たちの証言から、事件の真相が見えてくる―。

 

本性がつかめず「いくつもの素顔」を持つ難役で、人間の業をのぞき込むような骨太作品と前評判が上々のドラマです。

確かに、予告映像に出てくる男性キャスト(松下洸平、柿澤勇人、加治将樹、渋川清彦、豊本明長(東京03)、宇野祥平)をみてもバラエティーに富んでるし、この様々な特徴があるキャラクターに同調するように“さまざまな顔を持つ女”として描かれる律子(松本まりか)をつい見入ってしまいます・・・
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「怪演」というより「好演」というべき?

 

また、監督が第44回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した『ミッドナイトスワン』の内田英治監督で、勢いに乗ってるからとても関心があるドラマです。

 

このドラマに関連して松本まりかさんにインタビューした記事が印象深かったので抜粋

【松本まりか 「心から笑ったことがなかった」20年を経て「今がすごく変わるとき」】

あざとかわいいイメージを裏切る怪演ぶりが話題だ。松本まりかの中には、演じることと生きることへの渇望が渦巻いている。

——5月14日から始まる主演ドラマ「WOWOWオリジナルドラマ 向こうの果て」で演じるのは、ある殺人事件の被疑者・池松律子。彼女の人生にかかわる6人の男性との過去を通して、夜叉のような女、娼婦のような女、嘘つきな女、柔らかな女と、律子の持つさまざまな顔を浮き彫りにする。

松本まりか(以下、松本):演技を続けてきたのは、まさにこういう役をやりたかったからです。律子の心の奥底には、想像を絶する悲しみがあるのですが、台本を読んだ時はしばらく考えることを拒否したくなるような、逃げ出したくなるような気持ちになりました。自分を無にして、現場で受け取る相手役の男性たちを信じて挑みました。現場を信じた作品でした。

■器用ではないから

——律子のように、複雑なキャラクターを演じ分けなければならない場合、役と自分自身との切り替えに難しさを感じたという。

松本:撮影中は役と同化している感じがあるので、役を引きずっているような感覚はあります。どの役でもそうですが、自分と演じる役は全然違う人間なので、撮影前から役の雰囲気に近くなりますね。私は器用ではないので、明るいテンションから、急に律子のような人間にはなれませんでした。現場では挨拶したいのにできなかったですし、態度はすごく悪かったと思います。

——15歳でデビューし、2018年のドラマ「ホリデイラブ」の不倫妻役で脚光を浴びるまでおよそ20年。その後も幽霊や悪女といった奇天烈な役柄で怪演女優の異名を取ったのは、確かな演技力があればこそだ。

松本:役者は現場ですごく成長します。私にはその場所がなかったから、成長する場所を作らなければなりませんでした。ワークショップへ通ったり、演技やダンスのレッスンに通ったり。でも、いくらレッスンを積んでも、誰が見ているわけではないし、対価もありません。そんなことを繰り返し20年間やってきて、根性だけはつきました。

——同期には山田孝之、宮崎あおい、蒼井優と、錚々(そうそう)たる顔ぶれが並ぶ。売れない間、売れっ子の彼らや魅力あるアーティストたちを見続けた。

松本:私の友達はすぐにスターになったんです。スタートはみんなそれほど変わらないのに、私だけが売れなかった。何が違うんだろう? と思いましたが、違いは明白でした。演技力だったり人間力だったり。仕事がほとんどない間、ずっと彼らを見てきました。そのうち、演技がうまいことよりも人間性がいかに魅力的かが大切だと気づいたんです。人間力があればおのずと演技力もついてくる。人間としての中身がしっかりしているなら、演技はいかようにも自由にできる。そのほうがすごく自由ではないか。私は存在しているだけで説得力があるような俳優になりたかった。どうしたら自分に自信を持てるか、どんな人間になりたいかを学んできた20年だったと思います。

■心でつながりたい

——20年、友達と遊んでいても心から笑ったことがなかった。心には売れない自分をなんとかしなければという思いばかり。人間力を磨こうと25歳で一念発起して1年間英国へ留学したが、ただ真面目に勉強した。「未熟な私には遊ぶ資格がない」と自分を縛り付けていた。だから面白みのない人間になっていたと気がついたのは、帰国後しばらく経ってからだ。

松本:今ようやく自立できてきて、私は本当の意味でこれから笑ったり遊んだりしていくんだろうと思っています。旅行でも「楽しい」という感覚の中で見るものは、すごく美しいはず。真面目に生き過ぎると、感性が心に入る余裕がないんですよね。心の底から笑いたい。何か楽しいことをしたい、遊びたい。遊びこそ人生に豊かさをもたらしてくれるとすごく感じています。もっと人と心でつながりたいですし、コミュニケーションを取りたい。そういう気持ちになれた今は、私自身がすごく変わるときなのかもしれません。

■味わいたい瞬間がある

——実は、「ホリデイラブ」でブレークのきっかけを掴んでも、その後1年以上は仕事が少なかった。一気にオファーが増えたのは、昨年バラエティー番組に出演するようになってからだ。

松本:この2年でせっかく女優として注目を浴びたのに、今この波に乗らなかったら本当にばかだと思いました。このまま良い作品だけにちょいちょいちょいと出る道を選ぶか、オファーが来ている仕事はバラエティーでも何でも受けるか。どちらを取るかすごく悩みましたが、すでに20年間退屈な日々を過ごしてきて、あと10年かけていい俳優になることは、正直、耐えられないと思ったんです。今ならものすごくエネルギーがあるし、エンジンもフル回転しています。バラエティー番組に出て未熟な部分が出たとしても、乗り切れるのではないかと考えました。

——すべては演技のため。その気持ちはデビューしてから微塵も揺らがない。

松本:演技をしていると「この瞬間を味わいたかった!」という、役者とスタッフが集中したいい1カットが生まれることがあるんです。私は人とのコミュニケーションが苦手ですが、本当に納得いく演技ができた時は、演技でこそコミュニケーションができると感じます。「向こうの果て」では、役柄上、相手役の俳優さんたちとほぼ話していないし、目を合わせることもできなかった。でも、本番で本当の意味でつながり合うことができた時に、彼らとものすごく信頼関係が築けた気がしたんです。演技は私にとってのコミュニケーションツール。もっと磨いていきたいです。とにかくいろんな役をやりたいです。演技以外では、最近は情報番組やバラエティー番組と、思いがけないオファーをたくさんいただきます。なぜこのオファーが私に!?と思ったのですが、求めてもらえることは嬉しいですし、貴重なことだと思います。新たに挑戦することで気づきがあるかもしれませんし、自分を作っていけるのではという興味もあります。また、求めてくれる人に応えたいという気持ちもあります。自分が無理だと思うことを超えてみたいんです。だから、これからも、挑戦し続けていきたいです。

(フリーランス記者・坂口さゆり)

※AERA 2021年5月17日号

この記事を読んで「あざとかわいい」でなく「正統派女優」にイメージが変わりました。

 

松本まりかさんの怪演ドラマ『向こうの果て』は【 WOWOW 】にて

 

 

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